NBAサマーリーグで日本人初のヘッドコーチを務めた吉本泰輔-歴史的な「18インチの前進」(月刊バレーボール&月刊バスケットボール)

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出典元:月刊バレーボール&月刊バスケットボール

今夏ラスベガスで開催されたNBAサマーリーグは、8月8日に幕を開け、同17日にサクラメント・キングスがチャンピオンシップを獲得して全日程を終えた。東京オリンピックを終えアメリカに“帰った”渡邊雄太(トロント・ラプターズ)も出場機会はなかったものの姿を見せ、期間中には2021-22シーズンの全米中継予定も発表されるなど、夏場と言ってもやはりNBAの力強い活気を感じさせていた。

 その中でも、日本からの視点で、控えめに言っても最大のハイライトの一つとなったのが、ニューヨーク・ニックスで大阪府出身の日本人、吉本泰輔氏がサマーリーグ・チームのヘッドコーチを務めた事実だ。

 フルタイムでニックスのヘッドコーチを務めるトム・シボドー氏が、吉本HC(フルタイムの肩書きはAssistant to the Head Coach)に対して絶大な信頼を寄せていることには、疑いの余地がない。2010年から2015年まで率いたシカゴ・ブルズ、2016年から2019年までのミネソタ・ティンバーウルブズ、そして現在のニックス(2020年~)と、シボドー氏はなにしろ、自身がヘッドコーチとして動く先には必ず吉本氏を伴っているのだ。

 吉本氏がシボドーHC指揮下のチームで働き始めたのは、2011-12シーズンのブルズから。その職務は、ビデオコーディネーターとして毎試合のプレーを分析し、スカウティングレポートを作ったり、それを基にして所属プレーヤーたちのワークアウトを助けることだった。

 そこに至るまでには、アメリカの大学に留学して学業とバスケットボール・プレーヤーとしての経験を積み、コーチングを学び、NBAでのコーチングキャリアをひたむきに追いかけた吉本氏自身による努力の積み重ねがあった。その努力は、現琉球ゴールデンキングス取締役の安永淳一氏や、NBAで10年以上のコーチングキャリアを築き、1986年にはアトランタ・ホークスで最優秀コーチ賞も受賞したマイク・フラテロ氏など有能な人々との縁と信頼関係により報われた(詳しくはHOOP2012年9月号掲載の「ブルズの頭脳 日本男児“DICE”」に掲載)。

 長年の経緯を、本当にほんの少しながら知り得ていた立場からは、今回の快挙はもちろん快挙なのだが、驚きというものとは違った感覚を持った。ソーシャルメディアでその事実を知り、初戦で指揮を執る姿を目にして、ズーム会見で短い時間ながら受け答えする吉本HCの様子に接したときに感じたのは、「本当に、よくぞここまで積み重ねてこられた!」という感激と敬意だった。

 日本人がNBAの公式イベントでヘッドコーチの立場を務めるのは今回が初めてであり、アジア系人材という意味でも、マイアミ・ヒートのエリック・スポールストラHCに次ぐ二人目だという。しかもニックスはNBA創立当時から存在する名門フランチャイズ。さまざまな意味で世界の中心と言えるニューヨークという大都市で、バスケットボールに関して非常に目が肥えた熱狂的地元ファンが常に注目しているチームだ。

 トマス&マック・センターで指揮を執る吉本HCの姿を見て、一瞬、マディソン・スクエア・ガーデンで采配を振るう様子が頭に浮かんだ。それはあまりにも衝撃的であり、このサマーリーグがいつの日かその偉大なる瞬間に続く道のりに置かれたマイルストーンの一つなのかと思うと、またしても今後のNBAがとてつもなく楽しみになってくる。

 ズーム会見で吉本氏は、その日のプレーヤーたちの出来に関してのコメントや、シボドーHCほかのコーチングスタッフに対する感謝の意を表した。このサマーリーグHCの経験については、NBAならではの表現を使いながら「皆よく18インチ(約46cm)の話をするんです。その幅だけ右に行くか、左に行くか。私にとっての18インチは、前列か後列かということになりますが」と答えていたのが印象的だった(実際のコメントは英語)。

 18インチ—-ベンチに置かれる椅子一つ分の距離—-は、そのスタッフのチームにおける位置付けを意味している。

 ベンチでどの座席にいるのか。ヘッドコーチの隣か、その隣か、あるいはベンチ入りせず後列から見守る立場なのか。非常に強固な信頼関係の中で、有能な人材のみがバスケットボールに打ち込む機会を得られるNBAの世界において、一つ横の席に動く、一列前に進むという出来事には、その信頼関係が反映されてくる。それは言うまでもなく経験や技量などに対する評価をも浮き彫りにする。地道な努力でそうした信頼を勝ち取ることの難しさが伝わってくる表現だ。

“Everybody talks about 18 inches, to your right, to your left. To me 18 inches, I’m sitting in the front, I mean…, back during the game, so 18 inches front. Obviously it’s…, I tell the coaches all the time like it’s very different from helping out the practices, games to running a team. And I think it’s been a great opportunity for me to, you know, get better.”
“Obviously it’s the little things that, you know…, you have to make a lot of decisions on, apply. I’ve gotta be ready. That’s what I’ve got so…. But I’m…, like I said I’m very fortunate to have this opportunity to coach this team.”

「皆よく18インチ(約46cm)の話をするんです。その幅だけ右に行くか、左に行くか。私にとっての18インチは、前列か後列かということになりますが。コーチたちによく、練習や試合を手伝うのとチームを運営するのとはまったく異なると言ったことを話すんですよ。私にとってはまたとない向上の機会ですね。
 小さなことの積み重ねで、さまざまなな判断をして、それを実践していかなければなりません。しっかり準備していないといけない、というようなことを思っています。でも、このチームをコーチする機会を得られて、私は非常に幸運です」

 真夏のラスベガスで大きく一歩、18インチ前進した吉本HC。指揮を執った6試合は4勝2敗と勝ち越した。まだまだご本人の目指すゴールはずっと先に違いないが、まずは歴史的な快挙を心から祝したい。

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