【ラグビー】歯車であり主軸としてのボーデン・バレット。華麗な足技で流れ呼び込む。(ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン))

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出典元:ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

東京は秩父宮ラグビー場の人呼んで「伊藤忠側」。南スタンド側の通路は、スマートフォンを手にしたマスク姿の市民が占拠する。

「フィジカルディスタンスを保ってのご観戦を……」

 場内アナウンスの内容は、時間を追うごとに変わる。

「最前列に立ち止まってのサイン、写真撮影はご遠慮ください」

 芝の上にはボーデン・バレット。サントリーに新加入した、ニュージーランド代表SOだ。

 東芝との国内トップリーグ第4節に向け、同僚と球を蹴り合う。やがてゴールポストを介さず、プレースキックのフォームを確認。次は地面に弾ませた球を手中に吸い寄せ、味方へパスを放る。

 他の選手はグラウンドにいない。主人公は、早朝の調理場で包丁を研ぐ花板のようだ。

「本当は15~20分くらいゴールキックの練習をしたいのですが、いまはピッチによって5~10分しかゴールキックの練習時間が取れないことがあります。そのなかでどう自分のリズム、フローを作りあげていくか、考えながらやっています。いまはできるだけ早めに外にて出て身体を温め、試合で蹴られるよう準備しています」

 ノーサイド。73-5で制した。

 同じ府中市内を本拠地とする者同士のクラシコは、いったん13日にキックオフも落雷のため延期となっていた。殊勲の10番は総括する。

「仲間からローカルダービーの重要性を話してもらった。リマッチになった10数分でも東芝のフィジカリティを感じられた。きょうの試合へいい準備ができたと思います」

 勝負を大きく動かしたのは、ウォーミングアップで確認した足技の数々である。

 自らのペナルティゴールで3-0として迎えた前半9分頃、自陣中盤から左大外へ柔らかい弧を描く。

 味方へつなげるクロスキックだ。

 タッチライン際にいたWTBのテビタ・リーがタップすると、相手のミスと相まってハーフ線付近でサントリーが自軍ボールを再獲得。ここからバレットは再び味方からパスをもらい、飛び出す防御の裏へパントを上げる。弾道を追い、後ろへ戻って捕球しにかかる東芝のSH、小川高廣共同主将を捉える。サントリー陣営がせり上がる。

 カバーに回った東芝のSO、ジャック・ストラトンはなんとか、蹴り出すほかない。サントリーは敵陣中盤右でラインアウトを獲得。直後の攻撃で反則を誘う。6-0。点差は広がる。

 バレットは以後も、自陣からのクロスキックを意欲的に使う。

 相手に捕られれば一転ピンチを迎えうるなか、概ね首尾よくつなげた。前半31分頃の1本はニュージーランド代表CTBのセタ・タマニバルにさらわれたが、その前の23分頃には自軍のリーが好捕の後に走る。まもなく逆サイドで、オーストラリア代表CTBのサム・ケレビがフィニッシュした。ゴールキック成功。24-0。

 再三のキックの背景には、チームの戦術があったとバレットは言う。

「東芝はラインスピードを上げて(前に出て)ディフェンスしてくると分析していました。その後ろにキックスペースが空いていたら狙っていこうと考えました。それによって相手のラインスピードを減速させたり、相手のバックスリーにプレッシャーをかけたりするイメージでプレーしました」

 事実、さかのぼって17分にCTBの中村亮土主将がゴール前右隅へ放った1本は、WTBの中野将伍のチーム初トライを招いてスコアを14-0としていた。続く22分にSHの流大が接点後方から上げたボックスキックは、好守によるペナルティゴール獲得につながり17-0と点差が広いた。

 中村主将は「特に前半の最初は、相手にプレッシャーをかける意味でいったんボールを手離す」と説いていた。ゲームプランのはまったサントリーは、38-0と大差でハーフタイムを迎えた。

 かたや東芝陣営では、日本代表主将でもあるリーチ マイケルがこう漏らしていた。

「僕らがやられたのはペナルティでの失点、相手の蹴ってきたボールに対してターンオーバーが生じ、セットピースからプレッシャーをかけられたところです。セットから(両軍が出そろった時)のディフェンスは悪くなくて、相手のシェイプ(攻撃陣形)を止めていたけど、ちょっとアンストラクチャーになったり、チェイスにプレッシャーを受けて、そこからいい流れを与えてしまった感じです」

 東芝が1勝3敗となったのに対し、サントリーは開幕4連勝を決めた。

 空中戦のラインアウトでは、FLのツイ ヘンドリックが絶妙なスティールを披露。マン・オブ・ザ・マッチ獲得のNO8のテビタ・タタフは終始、パワフルだった。中村を中心とした防御ラインは、点差がついてからも引き締まっていた。

 何より今度の80分を通し、千両役者のバレットは独自で輝くより集団の歯車として機能した。チーム方針の一環で放ったクロスキックは、捕球役との呼吸がかみ合っていた。

 その仮説について、後半26分にベンチへ下がった本人は「アリガトウゴザイマス」と日本語で応じる。

「基本的に、自分たちのやっていることを理解し、システムを信じてプレーする。さらに自分で付加価値を与えられるようなことがあればそれもしたいと思い、開幕から一週間、一週間、集中して準備しているのが現状です。サントリーでのプレーを楽しめています」

 通称「ボーディ」は、チーム内で設定されるリーダーズグループの1人。契約期間は1年と短いものの、助っ人ではなく主軸として躍動する。

(文:向 風見也)

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