【ラグビー】現役ジャパン倒し、王国戦士に挑んだ。NECの中嶋大希、活動自粛乗り越え目指す道。(ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン))

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出典元:ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

大きな、大きな日本代表選手を倒した。

 2月20日、大阪・東大阪市花園ラグビー場。国内トップリーグの初戦で、昨季6戦全敗のNECは2018年度王者の神戸製鋼に挑んでいた。

 7-0と先制して迎えた前半3分だ。

 SHで先発の中嶋大希が、自陣22メートル線付近右中間で中島イシレリの左の腰骨あたりに刺さる。

 自分より15センチも大きく、46キロも重い31歳の左PRの足を止める。

「ディフェンスは意識していて、ああいうシーンを増やしていきたいと思っていた」

 味方の援護も受け、髪の赤い代表戦士を仰向けにする。接点で神戸製鋼の反則を誘い、攻撃権を得るのだった。

「チーム的にも『パンチファースト』をテーマに掲げていた。やられてから火がつくんじゃなく、先に仕掛けるイメージを持っていた」

 前半は26-28とトライ数では同じだった。結果は38-47と敗戦も、登録メンバー中の代表経験者の数で8名も上回る相手に「アタックの感触としては自信をつかめた」と中嶋は言う。

 何より浅野良太ヘッドコーチ(HC)が「キングディフェンス」と命名する防御でも、出足の鋭さを示した。スピード強化の専門家である里大輔パフォーマンスアーキテクトのセッションを、実戦的な動作につなげた。人気者への一撃もそのひとつだろう。

 身長171センチ、体重79キロの24歳は改めて、2021年の完全燃焼を誓う。

「最低限、全試合にスターティングメンバーとして出るというのが個人的な目標。そのなかでチームをトップ4に達成できるよう、一丸となってやっていけたら」

 昨季は足首を痛め、リーグが不成立となるまでに1試合しか出られなかった。浅野HC体制2季目を迎えるに際し、心掛けたのが意思統一だった。

 今季から共同主将となった。いままでの自分たちはどんな集団で、これからはどんな集団になるべきか。選手間ミーティングで話し合った。

「昨季の結果にはスタッフ、選手ともショックを受けていて、そのまま次のシーズンにポンと入っても同じことの繰り返しになるという考えでした。何を目標に、何を心のなかに置いて戦うか…。選手とスタッフではなく、選手同士で意見をまとめました」

 ホームページなどで掲げられる『NEC PRIDE』というスローガンは、「選手が納得して決めた言葉」とのこと。部内にあった家族的な雰囲気も批評的に捉え直し、「自分たちに誇りとプライドを持てるようなチームになる」と決意した。

「もともと、周りからも『日本人と外国人が分け隔てなく接する、仲のいいチームだ』と言われていました。でも、練習中に選手とコーチ、先輩と後輩が関係なくリスペクトしたうえで意見が言い合えているかで疑問が生まれました。そこを正し、いい関係を作っていこう……。そう話しました」

 競技面の軸は堅守に定めた。伝統的な部是だからだ。OBで元日本代表の指揮官が「キングディフェンス」を謳うのは自然な流れだった。

 グラウンド外では若手主体のYouTubeチャンネルや公式SNSの運営を通し、ファンとの接点を保つ。過去とは違うNEC、過去とは違う中嶋大希を示さんとするなか、直面したのが2度の活動自粛だった。

 部内で初めて新型コロナウイルスの陽性反応者が出たのは昨年9月。当時はリモートでのミーティングやトレーニングで戦術の見直しや体力の維持に務めたが、1月中旬に再び足止めをかけられた際は戸惑いを隠せなかった。

 他チームでも同様の事態が起きたため、1月16日の予定だった新シーズンの開幕は延期となったのだ。開幕日が2月20日に再設定されるのはその約1週間後だったとあり、中嶋はこう述懐する。

「あの時は次がどうなるかも何も決まっていなかった。チームのZOOMミーティングでも、コロナ、あるいは今後の日程に対する不安、疑問が強くなっている印象がありました」

 日本協会側は、クラスター発生の一因に選手のプライベートの飲食を挙げる。NECと異なるクラブのスタッフもその見解を暗に認めるなか、中嶋は、いちトップリーガーとしての当事者意識をリマインドした。
 
「チームでも制限は強めにして(チーム活動以外の)行動は最小限で……と言い合ってはいたんですが、感染者が出てしまって、それがチームの評価につながってしまっている。『もう、大学生や高校生じゃない。個人個人が(考えて)行動しないとこういうことになるよね』というミーティングは、しました。そんななかでも、チームドクター、メディカルが的確に指示を出してもくれていて、トレーニングはできた。そこは、よかったと思います」
 
 事実上のディフェンディングチャンピオンを相手に爪痕を残すまで、壊すべき壁を壊してきた。

 続く第2節では、前年度2季ぶりに昇格のNTTドコモに19-38と敗れ「(事前の)練習でミスが多かった」と反省する。ただ、その日に戦った大物から財産も得られた。

 2月27日の大阪・ヤンマーフィールド長居で、中嶋の対面に入ったのはTJ・ペレナラ。ニュージーランド代表69キャップの29歳は、後半27分、31分に連続トライを決める。

 そのうち1本目は、自軍ラインアウトのミスから弾むボールを手のひらに収め約40メートルを独走した形だ。

「なんであんなにボールが手のほうへ吸い込まれていくのかなと」

 衝撃を受けた中嶋は、それでも、前向きに総括する。

「ペレナラ選手は常に、笑っているんですよ。自分でミスをしても、チームがミスをしても、一瞬、ぐっとこらえて、一喜一憂しないで全体を見る。次のプレーに切り替えられる。プレーに関してはミスボールへのきゅう覚があって、一個一個のプレーがすごく正確。後々、試合を映像で振り返ると見習うところがありました。次に戦う時には、勝てるようにしたいです」

 3月6日の第3節以降、トップリーグのレギュラーシーズンとプレーオフトーナメントは5月下旬まで続く。以後は日本代表の活動がある。

「(代表に)入れるように頑張れよとは、周りで関わってもらっている方にも言われています。最終的には、それを目指しています。けがをしないように戦い抜く。それは自分を守りながら戦う意味ではなく、自分のプレースタイルを出し切ったうえでかつ、けがをしないということです」

 中嶋は全試合先発という目標を果たすだけでなく、流経大3年だった2016年以来となる代表復帰も目指す。強気の攻めを磨く。

(文:向 風見也)

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