ヒジ打ちありのキックボクシングのメジャー化を目指すKNOCK OUTが、10月4日に後楽園ホール大会を行なった。
那須川天心も定期参戦、新日本プロレスと同じブシロードがバックアップするこのイベントは、これまでTDCホール、大田区総合体育館と、キックとしては大規模な興行を成功させてきた。今大会は“格闘技の聖地”後楽園初進出。大きな会場と変わらない力の入ったマッチメイクで、チケットは完売に。
メインイベントでは、初代ライト級王座決定トーナメントの準決勝で森井洋介と町田光が対戦した。町田は居合抜きの構えからフックを繰り出す“居合パンチ”の使い手。対する森井はキック界に一時代を築いた“野良犬”小林聡が育てた選手だ。ともに数々の名勝負を残しており、現在のキックボクシングを代表する選手と言っていい。
試合は町田が圧力をかけ、強烈や左ミドル、右ローをヒットさせていく。森井はコツコツとインローを当てつつ、相手が前に出てくるところへヒジ打ちを決める。これで町田を出血させると、2ラウンドに2度のドクターチェックが入り、続行不能でストップに。ヒジありルールらしい決着で森井がTKO勝利を収めた。「町田選手が人生かけてきてるのを感じた」という森井。「圧倒的に倒したかった」という思いは決勝戦に持ち越しとなった。
決勝では、1回戦、準決勝ともに壮絶な打ち合いを制して勝ち上がった勝次と対戦。その舞台は12月10日の両国国技館大会だ。KNOCK OUT旗揚げ以来、最大のイベントでの戴冠に向け「相手が勝次選手、したくなくても激闘になるでしょうね」と森井。イベント名にふさわしい闘いになりそうだ。
10.4後楽園大会は第1試合の大月晴明がKO勝ちしたのを皮切りに激闘の連続に。とりわけセミファイナル、シュートボクシングのエース・鈴木博昭と水落洋祐の対戦はパンチ、蹴り、ヒジ、ヒザとあらゆる攻撃がぶつかり合う激しい打撃戦に。どちらが倒れてもおかしくない展開からペースを掴んだ水落が、合計3度のダウンを奪ってタオル投入によるTKO勝利を収めている。
ビックイベント志向のKNOCK OUTが後楽園で大会を開催するのは意外でもあったが、その激しい闘いぶりはいつも通り。“聖地”らしい盛り上がりも感じられ、両国大会に向けてのステップとしても大きな意味があったのではないか。