◆関西大学ラクビー第2日 天理大47―0関学大(8日・宝が池)
2連覇を狙う天理大が47―0で関学大に圧勝し、開幕2連勝を飾った。7―0の後半3分、SH藤原忍のパスからSO松永拓朗がリーグ戦初トライを決めるなど、2試合連続で先発した1年生のハーフコンビが躍動した。近大は53―19で摂南大を破り今季初勝利。フッカー大熊克哉(4年)が3トライの活躍を見せた。
天理大の1年生コンビが貴重な追加点を挙げた。7―0の後半3分、敵陣10メートル付近のラックから、藤原が松永にパス。松永は右サイドから中央に回り込み、2戦目でリーグ戦初トライを決めた。「トライにこだわりはないので、取れたらラッキーというぐらい。チームが勝てたのが良かった」と、1年生SOはクールに振り返った。
松永はキックもすごい。この試合では4度のゴールキックに成功。大産大付高2年から続けている独自のルーチンで、開幕戦と合わせて10度決めている。「高校でフォームが分からなくなってどん底に落ちてから、ルーチンを決めようと思った。そのルーチンがきれいにできれば絶対に入る」という、ここまで成功率100%の高精度キックだ。
藤原も、素早い球出しで1~3本目のトライの起点となった。「同級生なので(松永とは)言い合える」と藤原。松永も「一緒に行動しているからコミュニケーションを取りやすいし、性格も分かる」とグラウンド内外で息ぴったりだ。関学大は9月30日の開幕戦で、昨季の全国大学選手権で4強入りした同大を21―14で破った。勢いに乗る相手から後半だけで6トライを挙げ、開幕2連勝に導いた。
ともに高校日本代表などの経験はなく全国的には無名だが、実力でレギュラーを奪って2試合連続で先発した。同じ1年時から天理大で活躍したSO立川理道とSH井上大介(ともに現クボタ)のコンビをほうふつさせる。小松節夫監督(54)も「開幕戦と同じように落ち着いてやれていた」と評価した。
昨季は7戦全勝で4年ぶり8度目の関西制覇を果たしたが、全国大学選手権の準決勝で8連覇した帝京大に24―42で敗れた。「経験値は去年より上だが、それが出ているかどうか…。今日も、もうひとつ」。圧勝でも指揮官が納得していないのは、本気で「打倒・帝京大」を狙っているからこそだ。「日本一を目指している。こんなところで手こずっていたらあかん」と藤原は言い切った。今季の天理大は、昨季以上の快進撃が期待できそうだ。(伊井 亮一)
◆松永 拓朗(まつなが・たくろう)1998年8月13日、大阪市生まれ。19歳。中野中1年からラグビーを始める。大産大付高では花園出場はなし。体育教師を希望し体育学部がある天理大に進学。家族は両親と大産大付高3年の弟・貫汰。172センチ、77キロ。