選抜21世紀枠の希望と絶望 3度落選した指揮官の嘆き(サンケイスポーツ)

出典元:サンケイスポーツ

【球界ここだけの話】

 真っ赤に目を充血させながら、無理につくった笑顔が痛々しかった。

 「ここまで来ると、僕が持ってないのかなぁという気がします。“甲子園に行けない男”なんだと…。4年前はまだ行くには早いと自分の中で納得させましたが、今回は55年の人生の中で一番悔しい。『何でなんだ!!』という思い。気持ちの整理がつかない」

 そう話したのは、石橋高(栃木)野球部の福田博之監督(55)だ。同校は第93回選抜高校野球大会の21世紀枠東京・関東地区の候補校となったが、無念の落選。指揮官にとって、21世紀枠の全国最終9校に残りながら選出されなかったのは実に3度目となる。母校・真岡高(栃木)監督時代の2003年、石橋高での17年、そして今回…。

 19年夏には練習スケジュールの合間を見つけて、1人で深夜バスに乗って甲子園へ0泊の弾丸ツアー。大会4日目の仙台育英(宮城)-飯山(長野)と習志野(千葉)-沖縄尚学の2試合を観戦し、「指導者として目指すべき場所を再確認した」という中での3度目の“悲劇”だった。

 「やれることは120%やっている。21世紀枠の選考基準のどの項目にも当てはまっていると思う。正直、あと何をすればよいのかが分からない。何が足りないのか、どういう観点で外されたのか、逆に(選考委員会に)お聞きしたい」

 21世紀枠の選考基準は第一に秋季都道府県大会でベスト16以上。昨秋に作新学院を破って準優勝した同校は楽々クリア。その上で(1)少数部員、災害など困難な環境の克服(2)学業と部活動の両立(3)数年間にわたり試合成績が良好なこと(4)創意工夫した練習で成果を上げている(5)部外活動が他の生徒や地域に好影響を与えている、と続く。

 石橋高は(1)練習時間は約2時間で、他部との共用グラウンドで左翼90メートル、右翼60メートルしか使用できず、ほとんどを守備練習に充てる(2)生徒の半分以上が国公立大学に進学するなど文武両道(3)最近5年間で関東大会に2度出場したのは公立校では石橋と習志野の2校だけ(4)フリー打撃を始業30-40分前に集中して行う(5)学校周辺の掃除に加え、8年前ほどから医療スタッフと提携して肘、肩の検診付き野球教室を開催。確かに、福田監督の嘆きも分かる。

 選抜大会は文字通り、選考委員会が選抜したチームが出場する。そこには当然、「大人の事情」や「曖昧さ」が反映されることもあるだろう。試合成績という、ある程度の物差しがある一般選考枠と比べて、21世紀枠の選考はなおさら難しい。

 「進学校といっても、東大へたくさん行くような学校じゃないから?」「旧制中学でも県内8番目の創設だから?(一番目に創設された)宇都宮高校のようにネームバリューがなきゃいけないんでしょうか?」…。指揮官の自問自答に、“正答”を教えてくれる人は誰もいない。

(東山貴実)

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