出典元:中日スポーツ
◇16日 全日本選手権第6日(丸善インテックアリーナ大阪)
卓球の全日本選手権第6日は16日、丸善インテックアリーナ大阪で男女シングルスの準々決勝があり、男子では東京五輪代表の張本智和(17)=木下グループ=と丹羽孝希(26)=スヴェンソン=がそろって敗退した。17日の準決勝に進出した4人は優勝経験がなく、新型コロナウイルスへの厳戒態勢下の大会は波乱の様相。女子は伊藤美誠(20)=スターツ=らが順当に勝ち上がった。
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相手を威圧する覇気がなければ、自分を鼓舞する声もない。らしさを欠いた張本が、同門の及川瑞基(木下グループ)に1―4でなすすべなく敗れた。「負けた悔しさより疲れた方が大きい。喜怒哀楽を表せるほど元気じゃない」。どこか淡々と敗戦を振り返った。
新型コロナウイルスが間接的に影を落としていた。15日の試合で「チョレイ」と声高に叫ぶと、感染防止の取り決めに反するとして主審からたびたび注意を受けた。「声を出し過ぎていたと指摘されたので、今日は抑えようと思った」と張本は振り返った。
及川戦は明らかに声のトーンが激減。頻度も減った。「自分のプレースタイルじゃないので、いまいち乗り切れなかった部分はある」。闘志を体現することができなかった影響はプレーにも及ぶ。日ごろから一緒に練習している及川は「張本選手のバックは強烈だが、いつもより威力がなかった」と指摘した。
張本は昨年12月に腰痛を発生。練習を十分積めなかったことも体力面に響いた。ただ“チョレイ封印”やコンディションを割り引いても、世界ランク5位の張本が、同63位の及川に完敗した事実は重い。
「優勝した3年前のパフォーマンスができているかと言われたらできていない。周りのレベルも上がっている。自分が強くならないといけない」。コロナ禍がプレーに影響しない日が来るのかどうか。代名詞の「チョレイ」を失った張本の復調を願うしかない。