【有馬記念 見どころ】絶対王者が不在だからこそ 夢が見られる一戦に(テレビ東京スポーツ)

出典元:テレビ東京スポーツ

ちょうど1カ月前。ジャパンCが終わった時に多くの競馬ファンはこう思ったことだろう。

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「このジャパンCが2020年の日本競馬の総決算だ」と。

確かにジャパンCはすごかった。3頭の三冠馬が一堂に会することなんてそうそう起こることでもないし、これが引退レースとなったアーモンドアイが後輩であるコントレイル、デアリングタクトをねじ伏せるように勝ってG1レース9勝という金字塔を打ち立てたのだからこれを超えるレースなんて、向こう10年経っても出てこないかもしれない。

だが、2020年の日本競馬はまだ終わっていない。グランプリレース、有馬記念がまだ残っているのだから。

空前絶後の盛り上がりを見せたジャパンCと比べると、今年の有馬記念の出走メンバーが寂しく感じるのは確か。G1ホースが8頭もいるといっても、アーモンドアイに勝てなかった馬たちばかり。アーモンドアイとは未対戦の2頭の3歳馬も牡馬三冠馬、コントレイルに完膚なきまでに叩き潰されている。

そんな馬たちが16頭集まっても、盛り上がらないのでは?と思うことだろう。いや、実際は逆だ。絶対王者がいない混戦模様というのはどの馬にも勝つチャンスがあることの裏返し。だからこそ一獲千金を夢見るファンにとっては盛り上がるレースとなるのだ。

その証拠に、今年の有馬記念のファン投票数はネット限定だったにもかかわらず263万3902票と昨年の157万7760票を大幅に上回るという盛り上がりを見せた。

1位の得票数が史上最多なのはもちろん、4位の馬までもがこれまでの最多得票だった1989年のオグリキャップの記録、19万7682票を超えた。

そんな熱い競馬ファンの支持を最も集めたのが、クロノジェネシス。得票数はなんと21万4742票と歴代最多投票を更新したのだから驚きだ。

クロノジェネシスはアーモンドアイの1つ下の世代となる4歳馬。デビュー以来12戦して掲示板を外したのがたったの1度きりという堅実さがウリの馬で、ややもすれば地味な印象すらあった1頭。

それだけに歴代最多の得票数を得たのは意外だったが、今年に入ってからの戦績を見れば、個の得票数も納得できるほどの強さを示してきた。

明け4歳となった今年、クロノジェネシスは緒戦に選んだ京都記念で自己最高体重となる460キロで出走。ちょうど1年前のクイーンCが438キロだったので、20キロ以上の馬体増に。馬体が増えた分パワーも増して、道悪馬場でのレースとなったこの一戦を難なく勝利。

大阪杯2着を経て臨んだ春のグランプリレース、宝塚記念では4角で先頭に立つという強気なレース運びで後続を突き放し、気が付けばクロノジェネシスは2着馬に6馬身もの大差をつけて勝利していた。

秋緒戦となった天皇賞(秋)こそアーモンドアイの前に3着と屈したが、タイム差はたったの0.1秒差。距離延長も望むところで、春秋グランプリ連覇で次世代の競馬界を背負って立つ存在に名乗り出たい。

クロノジェネシスが春秋グランプリ連覇を目指す一方、投票2位のラッキーライラックも虎視眈々とグランプリホースのタイトルを狙っている。

何を隠そう、アーモンドアイの最初のライバルとなったのがこの馬。デビューから無傷の3連勝で阪神JFを制して父オルフェーヴルに初のG1タイトルをプレゼントした孝行娘で、当時は親子によるクラシック三冠制覇が期待されたが……牝馬三冠最初のレースである桜花賞でアーモンドアイの末脚に屈して以来、オークス3着、秋華賞9着と一戦ごとにその差は広がり、とうとうラッキーライラックはアーモンドアイに一度も勝つことができなかった。

ラッキーライラックが復活を果たしたのは昨年の秋。エリザベス女王杯でのことだった。新パートナーとしてクリストフ・スミヨンを迎えた一戦をインコースから伸びて、1年8カ月ぶりの勝利を収めると、以降は6戦してG1レース2勝を追加。

大阪杯ではこれまで勝てなかった牡馬をも下し、この秋のエリザベス女王杯も危なげなく制して連覇を達成。これが引退レースとなるが、その状態は5歳秋にしてピークに達しているといってもいいほど仕上がっている。

思えば、父オルフェーヴルも引退レースに選んだのはこの有馬記念。2着馬に8馬身差をつけて圧勝してターフを去ったが、娘のラッキーライラックは……。超えられなかったライバル、アーモンドアイが唯一馬券圏外に散った舞台で父のような激走を見せられるだろうか。

牝馬2頭に続くのが、ファン投票4位のフィエールマン。この秋、最もアーモンドアイに迫った男である。

牝馬の時代と叫ばれて久しい近年の日本競馬。アーモンドアイやデアリングタクト、今回の有馬記念に出走する2頭のように強い牝馬が増えた証だがその反面、牡馬が情けなくなっている。というのも2020年に開催された古馬の芝G1レース9戦中、牡馬が勝利したのはフィエールマンが制した天皇賞(春)の1勝だけ。

半数以上の古馬の芝G1レースを牝馬が勝ったというのはウオッカ、ダイワスカーレットが4歳だった2008年以来12年ぶりのことだが、その時ですら牡馬は4勝を挙げているので、2020年の日本競馬は牝馬が牡馬を制圧した年と言っても過言ではない。

強い牝馬が揃っていたのは確かだが、牡馬だって決して弱くない。天皇賞(春)で2連覇を果たし、当代きってのステイヤーとして地位を確立したフィエールマン。有馬記念は昨年も走って4着だったが、凱旋門賞帰りの一戦で決してコンディションが万全でなかったことを考えると健闘した部類と言える。

ジャパンCを敢えてスキップして臨む今回は持ち味をフルに生かしたレースをすることだろう。偉大なる父、ディープインパクトを彷彿とさせるあの弾丸のような末脚が冬の中山で炸裂するか。

他にも未知の魅力にあふれる3歳馬のオーソリティにバビット、ジャパンCを叩いて臨む昨年の3着馬ワールドプレミアに現役最強のグランプリ男・池添謙一を配して悲願の勝利を目論むカレンブーケドール、さらにジャパンCで存在感抜群の大逃げを見せたキセキなど……挙げていけばキリがないほど、今年の有馬記念出走馬には1頭1頭見どころがある。つまり、どの馬からでも夢が見られるということだ。

2020年の総決算となる有馬記念まであとわずか。果たしてあなたはどの馬にどんな夢を託すのだろうか。絶対王者が不在のグランプリレースも決して悪くはないだろう。

■文/秋山玲路

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