出典元:中日スポーツ
決戦へ向け、ムードは最高潮だ。31日に行われるボクシングWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(東京・大田区総合体育館)の予備検診が29日、東京都内で行われ、王者の井岡一翔(31)=Ambition=と挑戦者で同級1位の田中恒成(25)=畑中=がともに異常なしと診断された。コーンロウのヘアスタイルで登場した井岡が「レベルの違いを見せたいと思います」と言えば、田中は「KOを狙う」と言葉に力を込めた。
グローブチェック後に行われた予備検診は、なんら異常なし。階級をスーパーフライ級に上げたことで田中は「体の変化、体調の変化が全然違う」と言い、最高のパフォーマンスが発揮できるか問われると「間違いないです」とうなずいた。
数字上は以前と、それほど大きな違いは出ていないという。ただ、己だけが感覚がある。「最高の準備ができたので楽しみです」。コロナ禍の下での調整。畑中ジムは11月下旬から、他のボクサーや練習生の出入り禁止にする“緊急シフト”を敷いた。トレーナーなど限られた人たちによるチームで、決戦へ向け全精力を注いだ。
「コロナというマイナスの中で、逆に一番良い状態にできた」。一丸となって支えてくれたスタッフの思いも背負う。だからこそ、最後まで細心の注意を払った。この日は東京へ車で移動。人との接触を極力避けるため、新幹線の倍のおよそ4時間を費やした。
田中はスピード、パワー、さらにはメンタルでも負けていないと自負する。1分間の脈拍49という数字は、田中の心臓の強さも示している。「(井岡は)本当にいい選手。すごい試合になると思う。試合まで2日、気を抜かずやりたい」。目指すは4階級制覇で世代交代。準備はほぼ整った。