出典元:サンケイスポーツ
陸上・日本選手権長距離種目(4日、大阪・ヤンマースタジアム長居)東京五輪代表選考会を兼ねて行われ、女子5000メートルは田中希実(21)=豊田自動織機TC=が15分5秒65で初優勝して代表入りを果たした。
ラスト1周。最後の力を振り絞り、ライバルの前に飛び出した。若手ホープ対決はスパート勝負に。田中は自らを鼓舞するように腕を振り1秒46差の接戦を制した。ゴール後は両膝に手をつき、顔も上げられなかった。
「脚がとまっていた。いつ抜き返されてもおかしくないと思った。出し切る走りをしたいと思った。終わった後は意識がもうろうとしていた」
21歳の田中と20歳の広中璃梨佳(日本郵政グループ)。ともに五輪の参加標準記録を突破しており、優勝すれば東京五輪代表が決まる。ライバル同士の一騎打ちは、スロースタートだったが、中盤に広中がペースアップ。3000~4000メートルの1キロは、2分56秒のハイペースで押した。
「残り1周までつけば勝てる可能性が高い」。勝負に徹した田中は仕掛けるタイミングを計りながら、背中を追った。レース後、広中に「負けて悔しい」と伝えらえた。「どっちが勝ってもおかしくないライバル関係。続いたらいい」。若い世代が切磋琢磨(せっさたくま)で日本の女子長距離界を牽引(けんいん)する。
「こんなに苦しい思いをして勝ち取った権利。これを無駄にせず、自分自身と向き合い力を付けていく」。さらなる飛躍を誓った田中が来夏、国立競技場のスタートラインに立つ。