1978年浜松商のセンバツ初V―“打のヒーロー”がつかんだウイニングボールの物語(スポーツ報知)

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1978年センバツ大会を制した浜松商。決勝でウイニングボールをつかんだのが当時の4番・小沢宙通(ひろみち)一塁手(59)=現・遠州トラック常務執行役員=だった。打っては準決勝の桐生(群馬)、決勝の福井商と2試合連続で決勝打を放ち、初優勝に貢献した主砲に、42年前の栄光を語ってもらった。(取材・構成=塩沢 武士)

 高くはねあがったボールに、思い切り飛びついた。福井商との決勝戦。2点をリードした9回裏2死走者なしで、一塁手の小沢さんを襲った強烈な打球は、目の前で大きくイレギュラー。右前に抜けたと思った瞬間、素早く反応。ボールはファーストミットに収まった。そのまま一塁ベースに全力疾走だ。背番号3がセンバツ初優勝のウイニングボールをつかんだ。

 「福井商の打者はみんな振りが鋭かった。2死走者なし。ヒットゾーンを狭めるために少し後ろに守っていた。強い打球だったので、一瞬ひるんだけど、そこで腰が浮いたらダメ。下からボールを見る意識があったから、反応できたと思う」

 研ぎ澄まされた集中力は、厳しい練習で養われた。リードは2点。走者が出れば、まだ勝負の行方は分からなかった。決して守備は得意ではなかった男の好守が、優勝を引き寄せた。

 「一塁手なんで、来た打球は前へ落とすことしか考えてなかった。あのボールを取れたのも、普段のノックのたまものです」

 4番としてバットでも活躍。優勝までの5試合中3試合で完封した2年生左腕・樽井徹に注目が集まっていたが、打の主役は小沢さんだった。5戦で19打数7安打5打点。2回戦(対早実)を除く4試合で安打を放ち、打点を稼いだ。特に準決勝の桐生戦、決勝の福井商戦と2戦連続の決勝打で、存在感を示した。

 「自分では、準々決勝まで打っていた実感はまったくなかった。1回戦も内野安打一本。(準々決勝の)東北戦のヒットも詰まった当たりだった。ただ、3点目のだめ押し点になって、ベンチで船川(部長、現城南静岡高監督)先生が笑顔だったのを覚えている。それで気が楽になって準決勝、決勝に臨めた」

 大会前の下馬評は決して、高くなかった浜商。V候補に挙げられていた早実、桐生を撃破して勢いに乗った。

 「優勝できるなんて思っていなかった。(主将の)森下(知幸、現御殿場西監督)に1回戦で、益田を引いてこいって言った。負けて静岡に帰ったらきつい春合宿が待っていたから、一日でも長く関西にいたかった」

 勝ち上がった喜びはもちろんあったが、それ以上に、厳しい合宿から逃れたいという強い思いが、優勝への原動力のひとつになったと、ジョーク混じりで明かした。センバツ優勝という快挙を成し遂げたことで、環境が一変した。甲子園から浜松に戻り、行われた優勝パレードには市民が大挙。小沢さんには「日本一の4番」という重圧がついて回った。

 「新聞記者に囲まれたり、学校には女子アナが来たりで、チヤホヤされた。周りから『プロに行くの』なんて聞かれて、知らず知らずに有頂天になっていたと思う」

 日本一チームとして、招待試合の声も多くかかった。九州など普段は行けない遠隔地へ遠征に出向いた。そんな周囲のフィーバーとは対照的に、センバツ以降は結果が出なかった。春の西部大会は、初戦で掛川西にコールド負け。夏は3回戦で沼津東に敗れ、春夏連覇の夢は消えた。

 「センバツが終わってから全然打てなかったね。夏は最後の打者だった。3―1からボール球を打って、三塁ファウルフライで高校野球が終わった」

 1978年。小沢さんにとっては、栄光と挫折を味わった激動の1年だったが、県西部初の日本一という実績は、浜商の名を高校野球ファンに広めた。コロナウイルスの影響で今春のセンバツ大会は中止。夏の大会の開催も危ぶまれている現状を嘆く。

 「まさかこんな状況になるとは。今の3年生には1年間やり直させてあげたいね」。

 野球に育ててもらったと自負する元センバツV戦士。グラウンドから離れても、熱い思いは変わらない。

 ◆小沢 宙通(おざわ・ひろみち)1960年6月12日、周智郡森町生まれ、59歳。旭が丘中1年で野球を始めた。浜松商高では1年秋からレギュラー。卒業後は中大に進学した。180センチ、82キロ。家族は夫人と2男。右投右打。

 ◆浜松商硬式野球部 1924年創部。甲子園は春8度、夏9度出場。1978年センバツで初優勝。夏は80、88年にベスト8に進出した。主なOBには、船田和英(元ヤクルト)、榊原良行(元阪神)らがいる。

 ◆1978年の出来事 横浜スタジアムが完成。夏の選手権は、PL学園が優勝した。プロ野球で王貞治(巨人)が史上初の800本塁打を記録。阪急・今井雄太郎が完全試合を達成。ヤクルトが初の日本一。プロゴルフで、青木功が世界マッチプレーで優勝。アルゼンチンでサッカーW杯が開催。サザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でメジャーデビュー。日本レコード大賞はピンク・レディーの「UFO」が授賞した。

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