出典元:スポーツ報知
◆パ・リーグ ソフトバンク3―1楽天(18日・PayPayドーム)
落下点を確認すると、周東は力強く右拳を突き上げた。1―1の延長10回1死一塁。松井裕の149キロの直球をたたいた。「もう、頭真っ白です。誰も、自分自身も予想していませんでした。チャンスに弱い人生だったので(笑い)」。右翼ポール際へ2号サヨナラ2ラン。守備から入り、この日初打席で生涯初の劇弾を放ち、チームを8日ぶりの首位浮上に導いた。
昨年9月に受けた右肩手術の影響で今季初昇格は5月25日。それでも、昨季の66キロから7キロ増の体重73キロと大きくなって帰ってきた。「前は全てが完璧でホームランがやっとだったんですけど、今はしっかりコンタクトして自分のスイングができれば、飛ぶようになった」。松井裕は同学年。左腕が1試合22三振を奪った12年夏の甲子園はテレビで見ていた。「雲の上の存在」を、首位攻防戦という最高の舞台で打ち砕いた。
今月3日には第1子の長男が誕生。自宅に帰れば、新米パパとしての“仕事”が待つ。「奥さんも産んだばかりでしんどいと思うので。ミルクあげたり、抱っこしたり。泣いたら一目散に走っていきます」。20年には“世界新”の13試合連続盗塁を決めたスピードは、いかなる時でも健在だ。
9回にモイネロが追いつかれながら、首位攻防戦に連勝。就任後初のサヨナラ勝ちを、藤本監督は「まさかあそこで周東が本塁打を打ってくれるとは…。全部きれいに消してくれましたね」と喜んだ。最高の勢いに乗り、頂上まで走り抜く。(中村 晃大)