出典元:スポーツ報知
◆テニス 全豪オープン第6日(22日・メルボルン) ▽男子シングルス3回戦 ヤニク・シナー3(6―4、1―6、6―3、6―1)1ダニエル太郎
予選から勝ち上がったダニエル太郎(エイブル)の快進撃が止まった。4大大会で初めて臨んだ3回戦で、第11シードで世界ランキング10位ヤニク・シナー(イタリア)に敗れた。
対トップ10初勝利へ、可能性を感じさせる戦いは見せた。序盤は緊張に加え「雑音がすごくて(相手の打球音が)ぽわっと聞こえるのに(打球が)速くて合わせるのが難しかった」ことに戸惑い、3ゲーム連取を許した。慣れてから3ゲームを奪い返し、第1セットは落としたが手応えがあった。第2セットは「バックを積極的に深く打つ、フォアも下がらず前で押す」に集中。随所にネットプレーも織り交ぜてセットを奪い返した。
勝負の分かれ目は第3セット第8ゲームだった。シナーの好プレーが続き0―40の大ピンチに。「最大限リスクを出して」この日最速の207キロを記録したセンターへのサービスエースなどでしのいだ。しかし再びリスクを冒して攻めた結果、今までになかったミスが続き、ブレイクを許した。第4セットは防戦一方。トップ10の実力を「崩せるポイントがハッキリ見えなかった。少し疲れた瞬間に、向こうがガーっと乗ってきて、本当にすごかった。ばーっと来たので、なんじゃこれ、さすがと思った」と独特の言い回しで表現した。
オープン化後の日本男子で松岡修造、錦織圭に続く4大大会4回戦進出はならなかったが、会場を魅了し大きな拍手を浴びた。守り主体のスタイルから脱し、紆余曲折を経て攻守のバランスが取れるようになってきた。28歳で大きな進化を感じさせる大会となった。「やっとテニスをゲームとして捉えられるようになってきた」手応えがある。勝負を分けた場面も「そのポイントを取るためだけのリスクじゃない。例えば今後、トップ20の選手とかとやった時とか、これからに効いてくるリスクだった」と考えられることが奥深い。
「自分は芸術家なんだと信じたいと思ってる。やりたいからやる。そういうテニスキャリアと人生にしたい。その中で捉えれば、勝っても負けてもどっちでもいい、と思っている。もちろん勝ちたいけど(笑い)」
哲学者のような世界観で、これからも戦い続ける。