【ラグリパWest】青雲の志に燃える。梯誠剛 [スポーツトレーナー](ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン))

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出典元:ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

スポーツトレーナーとはなにか?

 選手のパフォーマンスを引き出す。そのため、技術指導、健康管理、ケガの予防、リハビリなどを行う。

 その領域で青雲の志に燃える。梯誠剛(かけはし・せいごう)。28歳。福岡の久留米を拠点に活動する。目じりを下げ、夢を語る。

「田舎の公立の競技が強くない小学校や中学校でも、トレーナーがいるのが当たり前の社会が作りだせたらいいなあ、と思っています。

 梯はラグビーと硬式野球の2つで高校生を指導する。ラグビーは浮羽究真館。この福岡の県立校には平日の朝に出向く。硬式野球は藤蔭。春夏通算4回の甲子園出場がある。大分・日田(ひた)にある私立校には基本的に週末に通う。

 浮羽究真館はうきは市にある。久留米と日田の間だ。そこで始業前の1時間、ウエイトトレーニングを教える。ラグビー部監督は吉瀬(きちぜ)晋太郎。保健・体育教員でもあり、OBでもある。梯の評価は高い。

「こちらのリクエストに応えるだけではなく、試合を見たら、こういう部分が足りないと思うので、こうしたいのですが、という感じで主体的にコミットしてもらえています」

 吉瀬は梯の8つ上、36歳。現役時代はセンター。京産大ではスクラムハーフの田中史朗と同期だった。田中はキヤノンからNECに移籍、日本代表キャップは75を数える。

 吉瀬が赴任して7年目。この秋の101回全国大会予選は8強戦で筑紫に0-59で敗れた。記念大会で2校が出場した昨年は4強、一昨年は8強と県立の無名校は着実に力をつけている。梯の力も小さくはない。吉瀬の2年目の2016年、「熱い先生がいる」と聞き、押しかけトレーナーになった。

「ラグビーはフィットネスが中心なので、やったことがすぐに出ます。やりがいはありますね。野球はメンタルとスキルです」
 楕円球と白球。ボールの大小や激突のあるなしなど競技特性によって、当然ながらトレーニングは違ってくる。

 自身は野球出身。小3から始め、高校は大宰府にある筑陽学園に進んだ。二塁や遊撃を任される。同校のNPBの現役選手としては広島の外野手、長野(ちょうの)久義や日本ハムの右腕、谷川昌希がいる。谷川は梯の1学年上。毎年、春季キャンプ前の自主トレにはトレーナーとして声をかけてくれている。

 進学した久留米大の経済学部には、トレーナーになれるカリキュラムが組まれていた。卒業と同時に日田にある五反田病院に職員として採用された。2つの高校での活動は認められている。取得済みの資格は2つ。日本スポーツ協会認定のアスレチックトレーナーと医療と連動し、個人の健康づくりを推し進める健康運動指導士である。

 五反田病院は整形外科、外科、内科などを含み、病床数は66。院長の五反田清和は整形外科医であり、その専門はヒザである。ラグビーに深く関わっている。梯は話す。
「宗像サニックスの選手は、ケガをすればここに来ます」
 五反田は男子7人制日本代表のチームドクターでもある。先月26、27日にはドバイであったワールドラグビー・セブンズシリーズの第1戦にも帯同した。

 五反田は久留米大の医学部出身。学部こそ違えど、梯には先輩になる。
「ここに勤められたのも、後輩ということがあったはずです。五反田先生にはラグビーにつなげてもらえ、ありがたく、幸せです」

 2年前の2019年には男子7人制日本代表のS&C(Strength and Conditioning)のアシスタントコーチとして呼んでもらえた。今年の五輪では代表の対戦相手を模した外国人チームのS&Cコーチをつとめている。S&Cコーチはトレーナーと比べるとより競技能力の高いトップアスリートを受け持つ。

 梯は普段、3階建ての病院内にあるメディカル・フィットネスジム「Re・born」(リボーン)に詰めている。2階はダンススタジオ、女性専用のジム。3階はジム。300平方メートルの広さでマシンは50台ほどが置かれている。フリーウエイトのエリアある。

「健康事業と運動指導をしています」
 ケガのリハビリはもちろん、高齢者のトレーニングに付き合ったりする。会費を払えば、一般人でもジムとして使用できるため、アドバイスを送ったりもする。

 日田からそう遠くない福岡の田川にも、ラグビー・ドクターがいる。村上秀孝は村上外科病院の院長。脊髄を専門とする整形外科医だ。梯と五反田の先輩にあたる。女子ラグビーのナナイロプリズム福岡の運営母体である「ナナイロラボ」の代表でもある。スーパーラグビー、サンウルブズのチームドクターもつとめた。

 日田と田川はJRの久大本線と日田彦山線でつながる。車なら1時間と少しで着く。
「おふたりは仲がいいです」
 梯は言う。この2人の久留米大出身の医師たちは、九州から日本のラグビーに多大な貢献をしている。梯への影響も大きい。

「ラグビー選手は人がいい。チームのため、みんなのため、と思ってやっています。私自身の時間を使いたいと思える競技です」
 大学を出て、すぐにつとめた先で縁を結んでもらった。そのつながりをこれからも大切にしてゆきたい。

(文:鎮 勝也)

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