明大、22季ぶり復活優勝…スタイル大改造、最後の最後に天理大ノックオンにつながった(スポーツ報知)

出典元:22季ぶりに大学王座を奪回して優勝を喜ぶ明大フィフティーン

◆第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会▽決勝 明大22―17天理大(12日・秩父宮ラグビー場)

 明大が天理大との激闘を22―17で制し、22季ぶり13度目の復活優勝を果たした。先制トライを許した前半を12―5で折り返し、重戦車FWと俊敏BK陣で猛攻を重ねた。後半の残り11分間に猛反撃を受け17点差から一気に5点差まで詰められたが、鉄壁防御で初制覇を狙った関西王者を退けた。名将・北島忠治監督が亡くなった96年に生まれたSH福田健太主将ら4年生たちが復活への大役を果たし、前回優勝後「人材の墓場」とも言われた汚名を返上。平成最後の大学日本一に輝いた。

 観客2万人を超えた秩父宮に無数の紫紺の小旗が舞った。悲願の日本一奪回を決めると、126人の明大部員がグラウンドに一斉に飛び出す。取り戻した栄光。歓喜の輪ができた。場内に響く「お~お~、め~いじぃ~♪」の明大校歌。うれし涙を流した福田主将が「優勝しましたぁ!」と報告をすると「うぉ~!」と大歓声が起きた。

 終盤、17点差から一気に5点差に詰められた。1トライ、1ゴールで逆転される残り30秒の場面。13点差リードからひっくり返され、1点差で帝京大に敗れた昨年度決勝の悪夢がよぎった。準決勝で帝京大の10連覇を阻止した天理大の強烈スクラムが襲う。しかし耐えた。最後は相手バックスのノックオンで幕。つかみ取った。

 故北島監督の「前へ」の遺訓通り、縦の突破で黄金期を築いたチームも22季前の前回日本一後は失速。皮肉にもFWにこだわり続けた頑固な姿勢が低迷を招き、2008年度は大学選手権出場すらできなかった。選手個々の能力は高くても優勝できず、近年は「人材の墓場」とまで言われてきた。

 今季就任した田中澄憲監督(43)がヘッドコーチ時代の昨季から取り組んできたのが意識改革。昨年度決勝の敗因は詰めの甘さ。弱さの原因は「平常心を保つ精神面」と考えた。あいさつや、用具の片付け、掃除…。プレー以前の当たり前のことができない。前監督の丹羽政彦氏が「腐った組織、あしき文化を壊す」と掲げてたたき直し、田中監督にタスキを渡した。

 田中監督は夏合宿から私生活を改善する3つの目標を毎日提出させ管理。早朝6時半からの練習では「やる気のない証拠」と寝癖も直してからグラウンドに来させた。「いいクラブには文化がある。ラグビー以外に大事なものがある」。自身が現役時代に北島監督に教えられた明治の文化を後輩たちに伝えた。その文化を北島監督が亡くなった96年に生まれた福田らが再生させた。

 さらに「FWだけでは勝てない。勝つためにはディフェンスをやらないといけない」とスタイルも大改造。速い出足で重圧をかける防御を徹底。決勝戦の最後の最後に天理大のノックオンにもつながった。

 試合前のミーティングで福田は感極まって泣いた。「紫紺のジャージーを着られることを誇りに思おう!」。主将の涙に全員が奮い立った。クラブハウスには今でも90歳を超えるオールドファンから戦術を指南する手紙が届く。田中監督は「我々を見捨てず応援してくれた方々に感謝したい」と感無量だった。

 この22年は文化を受け継ぎながら試行錯誤し、新しいスタイルに脱皮するのに必要な時間だった。「初優勝したような気分。大事な何かが積み上がった」(田中監督)。伝統校は、平成最後の大会で、ついに生まれ変わることができた。(小河原 俊哉)

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