大坂クロス打ち合い進化「ビッグX」堀内昌一氏の目(日刊スポーツ)

出典元:女子シングルス決勝でリターンする大坂(撮影・菅敏)

<テニス:全米オープン>◇8日(日本時間9日)◇ニューヨーク◇女子シングルス決勝

世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が、4大大会最多タイ24度目の優勝を狙った元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)に6-2、6-4の1時間19分でストレート勝ち。日本男女を通じて史上初めて4大大会シングルス優勝の快挙を達成した。

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大坂の急激な進化に驚かされた。ナチュラルなパワーに安定した戦術が加味されて、まさに鉄壁のプレーだった。

「ビッグX」という用語をご存じだろうか。テニスの試合はフォア、バックハンドともクロスの打ち合いがベースになるということだ。テニスのネットの高さは両サイドが107センチだが、中央は91・4センチで15・6センチ低くなっている。選手はこの差を利用してネットにかかるリスクを回避し、クロスの応酬から試合を組み立てる。

大坂はこの基本戦術に忠実だった。強く、深いクロスでセリーナを押し込み、甘い返球を呼び込んでウイナーを狙い、ミスを誘った。3月にツアー初優勝を飾ったが、当時はまだ力任せの粗っぽさが残っていた。クロスの打ち合いで我慢できずに無理な状態からオープンコートへ強打を狙い、ミスも散見された。それがこの全米では完全に解消されていた。サーブもパワー一辺倒ではなくなった。時にはあえてスピードを落としてコースを打ち分ける。ボディーを狙ってセリーナのリターンを封じたのも成長の証しだった。

希代のハードヒッターが勝つための戦術を身につけた。女子テニス界が新たな時代に入ったことを実感する大坂の優勝だった。(亜大教授、テニス部総監督堀内昌一)

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