大学生ボランティアが語る平昌のプライスレスな経験(日刊スポーツ)

<直撃!冬季五輪 その12>

 21日付の日刊スポーツ本紙に掲載された、東京五輪ワイド特集(毎週水曜日付紙面で連載中。西日本本社管轄エリア除く)で、平昌冬季五輪(ピョンチャン・オリンピック)で通訳ボランティアとして働く神田外大の学生に、肌で感じた問題点と、それを課題として2020年東京五輪にどう生かすかを聞き、紹介した。

 平昌五輪では、観客対応中心の都市ボランティアの現場において言葉の壁があるという指摘が出てきたので、そこをメインテーマに原稿を書いたため、どうしても批判的な内容にならざるを得なかった。一方で神田外大の学生は、平昌五輪で生き生きと活動している。今回の「直撃! 冬季五輪」は「東京五輪ワイド特集」の番外編として、神田外大の皆さんから聞いた通訳ボランティアをしていて感じる喜び、楽しみを紹介したい。

 開幕前の2日、ボランティアで参加予定だった2000人超が辞退を申し出て大会を離れたという衝撃的なニュースが報じられた。ボランティアに提供された宿舎で温水が出なかったり、移動のバスに乗るのに酷寒の屋外で長い時間、待たされたりしたことで、勤務環境が悪いと批判の声も多かったという内容だった。

 平昌で都市ボランティアを行う、神田外大英米語学科2年の本郷素直さんと国際コミュニケーション学科2年の村田真悠さんを、宿舎の延世大原州キャンパスに訪ねた。2人とも両親が心配し、毎日、連絡が来たというが、本郷さんは「報道で騒ぐほど、日本人ボランティアは不自由はしていないです。もちろん、私たちのところも時間によって…日付を超える時間は、ぬるま湯しか出ない時がありますけど、お湯が出る時間を把握していれば、そこでお風呂に入ればいいし、水しか出ないわけじゃないです。全然、大丈夫」と、問題がないことを重ねて強調した。

 食事に関しても、本郷さんは「ご飯も、もういいよって言うくらい、たくさん出るんです」と笑った。村田さんも「2000人、離脱したことについても、組織委員会が(職場環境が悪いことなどを)把握していない部分もあったと思いますよ。自分たちが伝えないと、上も動いてくれない。離脱がきっかけで、上が深刻という判断をしたので、自分たちは一定程度の生活は出来ているんだと思います」と前向きに語った。

 通訳ボランティアをして良かったことは? と聞くと、英語とハングルが堪能な村田さんはネーティブの韓国人と直接、ハングルで語りコミュニケーションが取れることだと強調した。

 村田さん 私はハングルを日本で勉強しただけなので、韓国の学生と、こんなにお話しするのは初めてです。話をすると、意外と日本に興味を持っていることが多い。北朝鮮の問題や日韓関係など、悪い部分が取り上げられてはいますけど、ボランティアを通じて話し合って、コミュニケーションを取ることで、自分たちが日韓関係を改善するための1歩になるのかなと感じています。

 本郷さんは、海外で不自由なことがあっても、それを楽しめるくらいの心持ちでいれば、新たな体験、日本との文化の違いを発見でき、喜びがあると語った。

 本郷さん このあたりの駅やお店のトイレは、トイレットペーパーは流してはいけないんです。日本の生活レベルが良すぎる部分があるので、下がるのは当たり前と思う感覚を持ち、その中で、いかに楽しめるかじゃないか。例えば、日本の家には床暖房がある家もない家もあるけれど、韓国にはオンドル(床下暖房)があって、すごく暖かい。普段、自分が感じていないところで、自分の国と行った国の違いを感じられる海外の体験は、すごく面白いですね。

 江陵スピードスケート競技場で活動する同大英米語学科2年の蛇沼香野さんは「ボランティアというもの自体に初めて参加して、外国の年の違う方とリアルに触れ合うことで、すごく良い経験が出来ています。こういう大会を通して、1つになることの素晴らしさが分かったので、人と人とをつなげるようなことが出来ればいいなと思います」と笑みを浮かべた。

 生でスポーツ観戦したこともなかったといい「ボランティアをしていない時は、少し見てもいいと言われていたんですけど、生で見るとスピードスケートの氷に触る音が違う。会場まで足を運んで見ることの楽しさもすごく分かった。東京五輪は開催国だからこそ見に来て欲しいし、実際に運営に関われるなら関わりたい」と東京五輪へ強い意欲を見せた。

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